
| (事務局より) |
| 法人協会若手経営者・後継者ネット会員のAさんの手記をご本人同意の |
| 下公開いたします。Aさん(本会会員:川南町(養豚))の娘さんで、嫁ぎ |
| 先も同町の養豚農家)。4月20日農林水産省による「宮崎県において口 |
| 蹄疫発生」のプレスリリースの時点では、ご出産のため入院中であった。 |
| そして、、5月9日に嫁ぎ先が口蹄疫発症。直後から事務局宛にメールし |
| ていただいてたものを掲載いたします。 |
| 公開にあたっては事務局でもかなり迷いましたが、ご本人の「この現状を |
| 形に残したい」との思いを受け、公開することにいたしました。また、ツイッ |
| ター等により閲覧される一般の方々も沢山いらっしゃることから、会社名・ |
| ご本人名等はふせております。御了承下さいませ。 |
| これによって、現場の方々がどのような状況なのか、どんな思いでいるの |
| か、少しでもご理解いただければ幸いです。 |
| 【5月9日 朝】 |
| 朝8時。連続2回の電話。2回連続の時はぜったい出てよの合図。 |
| 嫌な予感... |
| 「出た。駄目じゃ」 |
| あんなに消毒してたのに・・・ |
| 恐ろしい伝染病だ。 |
| やっと昨日、役場の人に承諾してもらって農場の前の道を封鎖したのに。 |
| どこにも迷惑をかけない道なのに、封鎖もできんで。 |
| 消毒してない車も山ほどある、知らない人は平気で通る。 |
| 町としても、もっと何かできるやろうに。 |
| 見殺しや。ほんと、腹が立つ。 |
| 戦いはこれから・・・だ。。。 |
| そして、主人の母から電話。 |
| 「あんた達は、まだ若いから気を確かに持ってしっかりね」声が震えてる。。。 |
| 「はい、頑張ります。。」と電話を切った。 |
| (えぇ~、豚を殺してしまうんだ。。。) |
| (うそ~、陰性かもよ~。信じたくない。) |
| (ほんとに全頭処分やと~~~?) |
| ただ涙するばかりです。 |
| でも、わたしがしっかりしなきゃ‼主人と義母はもっとツライはず。 |
| でも、ほんの少しわずかに心にホッとするような気持ち。気が抜けたのか? |
| いかん、ホッとしちゃいかんやろ~!ほんの少しホッとしたなんて |
| 口がさけても主人には言えない。。。 |
| 【5月9日 昼】 |
| さぁ、泣いてばかりはいられない。 |
| 農場から出れないであろう、主人の着替えなどをまとめていたら、電話がなる。 |
| 「おれ、帰れるわ~」 |
| へっ???なんで??? |
| 何でも、家畜保健所の方から渡された注意事項などが書いてある紙には、外出す |
| る時はシャワーを浴びてからにしましょう。くらいのことしか書いてない。 |
| 発症した仲間の農家さんに聞いたら、消毒、着替えとシャワーは徹底してるけど |
| 外出禁止とは言われんかったよ、と。 |
| 我々がどんだけ過敏に、外出を極力控え、消毒、着替え、風呂を徹底していても |
| 家畜保健所の方は、お帰りの際、家庭用の除草剤をまく時に使うようなシュポシュ |
| ポを出し、消毒をしようとしていたので、主人が「他にうつってもらったら困るから」 |
| と消毒してあげたとさ。 |
| (ガックリくるー。何でそんなん?) |
| (そのくらいの知識・意識しかないんだわ。。知らないんだわ。。。) |
| (そりゃ、こんなにも広がるわけさ) |
| お昼に友人が、買い物をしてきてくれた。「1日に8回消毒してるから、大丈夫よ」 |
| 「あなたは産後まだ日が浅いんだから無理しなさんなって」って。 |
| ありがたい。 |
| 外の様子を教えてくれた。友達の子供は、発生した農場付近の小学校に通学。 |
| 「道路の封鎖も中途半端よ」 |
| 「封鎖と封鎖の間の道はバンバン車通るし、子ども迎えの車が多いし、、」 |
| 「車で来るから買い物して帰ろうかと遠出するわ~」 |
| 「広がるて~、腹が立つ!!」 |
| 「こんな時くらい、町がスクールバスみたいなのを出してくれても・・・」って。 |
| 友達は、川南で飲食業をしている。 |
| 「早く終わってくれんと、店も暇すぎて・・・。」 |
| だよね。。。誰も動かんもんね。。。 |
| 【5月9日 夜】 |
| 主人と、今後のことや、いろいろをお話し。わたしの気持ちを伝える。 |
| Aさん:「このまま、この問題を終わらせてはいかん!ツライかもしれんけど、今の |
| 現状を形に残そう」主人も理解を示す。 |
| Aさん:「お母さんは大丈夫?」 |
| ご主人:「いっとき座りこんじょったけど、1時間くらいしたら、えさやり始めたがね」 |
| Aさん:「また、養豚を続けるの?」 |
| ご主人:「うん!口蹄疫が出てからずっと考えてたけど、やめることは考えんかった」 |
| 「・・っていうかこのままで終われるか!!こいつらを死なせてしまう責任は |
| とらんといかんし。守ってやれんかったし」 |
| Aさん:「十二分に頑張ったよ」「豚を死なせてしまうことは忘れてはいかんし、その |
| キズは一生残るけどね」 |
| 「あたし達は、生きていればどんだけでもやりなおせるが!!」 |
| ご主人:(うなずく)「ま、借金ばっかり増えるけどね。。。」 |
| 「いろんな人から電話がきてよ。心配やら応援やら。ありがたいね~」 |
| 「これが全てやないやろか~。人とのつながりが宝やわ」 |
| 「○○くん(近所でじゃがいも、ニンジン、スイートコーンを植えている農家 |
| さんで、うちの農場横にも畑をもっている。)も口蹄疫でてから「お前んちに |
| は近づかんかいね、それは安心しちょってよ」って言ってくれてよ~、自分 |
| とこなんかスイートコーンの収穫ができんとよ」たまらんて。川南の農業全 |
| 体が被害にあっちょるとよ」 |
| そうなのだ。畑の肥料もまけず、発生したところは封鎖されるから、近くの畑には収 |
| 穫にも行けない。お茶をしているSさんは、茶畑のとなりが養豚場で、そこが発症し |
| てしまったので(何の連絡もなく消毒液を撒かれたから)一番茶は取れず。。。との |
| こと。口蹄疫が出て、大変なのは分かるし、農場の人の気持ちも分かる。 |
| 連絡さえしてくれれば、どうにかしようがあったのに。。 |
| いろんな問題がありすぎて、川南はピンチ! |
| 町長、現場を分かってんのかな~? |
| 主人に「大丈夫?今は気が張ってるから大丈夫かもしれんけど、家に帰ってきたら |
| 吐き出してよ。無理せんでね」と言ったら「家に帰ってきたらより気合が入るだけよ」 |
| 「お前と息子の顔見たら頑張らにゃ~ってなる」って。 |
| 精一杯支えなきゃ。。。 |
| 殺処分に至るまでの経緯はまったく分からない。日にちがかかることは間違いなさ |
| そうだ。この先、どうやって養豚業再開の日を迎えるのかも想像できない。 |
| 何も決まってないし、生活はすすんでる。 |
| 不安は山積みだ~。 |